傍らに書物

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『昆虫絶滅』

 

『昆虫絶滅』
オリヴァー・ミルマン著、2023年12月 早川書房

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•本書は、地球上に存在する50万種もの昆虫が絶滅の危機に直面しているという衝撃的な事実を浮き彫りにしています。昆虫のSOSに対して、人類はどのような姿勢で応えるべきなのか…

 

•昆虫がこの世から消え去ることで、それを食べる鳥もまた消失の道を辿ります。更に、花粉を運ぶ昆虫がいなくなれば、リンゴ、ハチミツ、コーヒーなどがスーパーマーケットから姿を消し、贅沢品となる可能性があると、読者を強く惹きつけるストーリーで書き始められています。

 

•昆虫の減少には、生息地の減少、農薬の過剰使用、気候変動など、人間の活動によって引き起こされる要因があります。

 

電子本書では、ミツバチや米国北部からメキシコまで移動するオオカバマダラ蝶などの減少について詳細に分析しています。ホッキョクグマやゾウなど、よく取り上げられる大型動物とは異なり、昆虫に焦点を当てることで、多くの思考材料を提供しています。

 

•対策に関しては、具体的なアクションプランを提示するのではなく、自然をそのままにし、何もしない「インアクションプラン」を通じて自然に回復の機会を与えるべきだと提案しています。

 

•昆虫の現状を理解し、それらを貴重な存在として再評価する視点を提供するこの一冊は、非常に価値のある読み物です。