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『世界を動かした日本の銀』

『世界を動かした日本の銀』

磯田道史ほか 2023.5 祥伝社

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• 近世まで最貧国だった日本が、石見銀山から産出された大量の銀により、中国の貨幣経済化を促してヨーロッパにも影響与えたというスケールの大きな話が証拠となる数字とともに展開されます。

 

•1500年から1700年に日本は中国に4875tの銀を輸出しており、中国への輸出の70%を占めるようなりました。この銀を貨幣とすることで中国では貨幣経済が発達時、日本も大きな成長を遂げています。

 

•過去のGDPの研究も進んでいるらしく、1300年前の奈良時代(710〜784年)の日本の1人あたりGDPは400ドル(約6万円)、1000年前で最も豊かだった中国の宋の1人あたりGDPが1000ドル(約15万円)であったので、人口差も考えると日本は貧しく、傭兵を派遣する等も行っていたことに繋がってきます。

 

石見銀山の銀という視点から

日本の貨幣経済が発展→貨幣経済には文字を覚えて計算する必要があるので読み•書き•そろばんで識字率も向上する→農業から工業に移り、資本主義経済が発展

という歴史の流れは非常に勉強になります。日本は銀の次は半導体で成長していったという流れでしょうか。

 

•磯田教授以外の方のパートも参考になる知識が多かったです。いつもと違う視点から歴史を知りたい人におすすめです。