傍らに書物

年間100冊を基準にジャンルを問わず読んだ本をアップしています。

『世界一流エンジニアの思考法』

『世界一流のエンジニアの思考法』
牛尾剛 2023年10月 文藝春秋

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・著者の牛尾氏は米マイクロソフトシステムエンジニアです。どんな考え方をしているのか興味があり読んでみました。

 

・この本では、米マイクロソフトの生産性の高さの秘密や、文化の違いから生まれる仕事へのアプローチ、チームビルディング、そして個人の生活習慣に至るまで、多岐にわたるトピックが扱われています。特に印象的だったのは、仕事を楽しむことの重要性を確認する米マイクロソフトの文化です。「仕事を楽しんでいるか?」この単純な問いかけが、職場の雰囲気や生産性に与える影響は計り知れません。

 

•また、システム開発における完璧主義への批判、つまりコロナ禍中のCOCOAの例を挙げ、どんなシステムにもバグはつきものであり、改善していくことの重要性を強調しています。この考え方は、新しいチャレンジを恐れることなく、前に進むための勇気を与えてくれます。

 

•生活習慣に関しても、定時退社、適度な運動、そして7時間の睡眠が生産性向上に不可欠であることを指摘しています。実現は難しいかもしれませんが、健康的な生活習慣が仕事のパフォーマンスにどれだけ貢献するかを再認識させられました。

 

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『データサイエンティスト』

『データサイエンティスト』

橋本大也著 2013年8月 ソフトバンク新書

・本書は、データサイエンティストという職業の重要性と、その役割について深く掘り下げています。

・橋本さんのChatGPTの活用方法の切り口とデータ分析が凄すぎるので、2013年のこの本を読めば少しは考え方が勉強できるかと思い読んでみました。

 

・第二章「データサイエンティストならこう考える」では①算術平均②中央値③最頻値の3つの平均について分かりやすく解説されていて、ビジネスの現場で最も使う算術平均では答えが導けないことがあるのがよく分かります。

 

・AIの進化により数字だけでなく、アンケートなどの定性的なデータ分析もより容易にできるようになってきました。しかしながら何を目的に分析するかの設定や数字の裏にある人間の心理や時代背景はますます必要になるのではないかと感じました。

 

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『室町は今日もハードボイルド〜日本中世のアナーキーな世界〜』

『室町は今日もハードボイルド〜日本中世のアナーキーな世界〜』 

清水克行著、2024年1月 新潮社

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・本書を読むと現在の”おとなしくて控えめ”という日本人のイメージが大きく覆ります。

 

・中世の室町時代は、東に幕府、西に公家政権が存在し、地方社会は荘園等によって細かく分節化されていました。この時代、庶民は村や町を拠点に生活しており、幕府法、公家法、荘園内の法、村法などが複雑に絡み合うアナーキーな社会構造が形成されていました。


・第2話「山賊・海賊のはなし」では村上海賊は有名ですが、琵琶湖の海賊(湖賊?)は初めて知るものでした。
・中世では北陸から京都に物資を運ぶのに琵琶湖を利用していましたが、必ず通行する堅田地区には通行料を徴収する関門が設けられ、通行料を払わないと海賊衆から制裁を受けていたそうです。

・この堅田地区で兵庫という青年による金銭目当ての山伏一行16人の大量殺人が起こりました。この事件が公になり責任を問われて兵庫の父は切腹し、逃げた兵庫は阿弥陀如来への信心に目覚めるのですが、信心への目覚めが大量殺人の罪悪感でなく父を死なせたものという誠に身勝手なもの。どんな感覚かとツッコミたくなりますが、中世では近隣住人や家族とのつながりが一番頼りであり、人間の生命はつねに等価でなかったのではとしています。

 

・さらに、第4話「ムラのはなし」では琵琶湖の北の菅浦集落の田地を巡る150年もの長きにわたる衝突や、第5話「升のはなし」では年貢を納める際に使用された升の容積が地域によって全く異なっていたことなど、中世の社会が抱えていたアナーキーな側面に光を当てています。

 

・『室町は今日もハードボイルド』は、ただの歴史書以上のものを提供してくれます。中世日本のアナーキーな世界をユニークな視点で読み解きたい方におススメの一冊です。

 

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『信用』

『信用』入江慎也著 2023.12 新潮社

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・著者の入江慎也氏は、かつて「友だち5000人芸人」として名を馳せ、多くの人々との繋がりを持っていました。しかし、2019年には直営業を理由に吉本興業から契約を解除されるという試練に見舞われます。この出来事は、入江氏のキャリアにおける大きな転機となりましたが、彼はここから立ち直り、現在は清掃会社「株式会社ピカピカ」の代表として活躍されています。

 

・本書は、そのような困難な時期を乗り越えた入江氏自身の経験に基づくもので、特に彼を支えた周囲の人々の寛容さや、新たなスタートを切るために取り組んだ努力に焦点を当てています。迷惑をかけた後も変わらず支えてくれた先輩芸人の姿勢や、アルバイトから始めた清掃会社で出会った人々の懐の深さが印象的です。

 

・また、講演で紹介された「WBC」というコミュニケーション術も本書のハイライトの一つです。WBCは「笑う」「ビックリする」「チェックする」の略で、コミュニケーションを円滑にするための簡単な方法として提案されています。この技術は、日常生活やビジネスシーンで即座に役立つものです。

 

・『信用』は、逆境に立ち向かい、人との繋がりの大切さを再確認し、自らを信じて前に進む勇気を与えてくれる一冊です。肩に力が入りすぎている時や、何か新しい一歩を踏み出そうとしている時に特におすすめの読み物です。

 

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『人と企業はどこで間違えるのか?』

『人と企業はどこで間違えるのか?』 ジョン・ブルックス 2014年12月 ダイヤモンド社

・『人と企業はどこで間違えるのか』は、ビジネス界の巨人たちに愛され続けてきた、非常に影響力のある一冊です。ウォーレン・バフェットからビル・ゲイツまで、多くの成功者がこの本からインスピレーションを受けています。

・本書は、成功と失敗の本質を探るための興味深い10の物語を収めています。その中で特に注目すべきは、フォードやGEなどの事例です。これらの事例を通じて、企業や個人がどのように間違いを犯すのか、またその間違いをどのように避けることができるのかが明らかにされています。

・例えば、フォードのエドセルという車種の失敗に関する物語は特に印象的です。車名の選定から品質管理の問題まで、新しいプロジェクトを成功させる上での困難が生々しく描かれています。また、1960年代のGEにおける「コミュニケーション不全」という事例は、組織内の誤解や談合問題を取り上げ、ビジネスにおけるコミュニケーションの重要性を浮き彫りにしています。

・歴史的な事例を通じて、現代のビジネスにも通じる普遍的な教訓を学ぶことができます。何度読み返しても、新しい発見があり、ビジネスにおける深い洞察を提供してくれる一冊です。


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『昆虫絶滅』

 

『昆虫絶滅』
オリヴァー・ミルマン著、2023年12月 早川書房

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•本書は、地球上に存在する50万種もの昆虫が絶滅の危機に直面しているという衝撃的な事実を浮き彫りにしています。昆虫のSOSに対して、人類はどのような姿勢で応えるべきなのか…

 

•昆虫がこの世から消え去ることで、それを食べる鳥もまた消失の道を辿ります。更に、花粉を運ぶ昆虫がいなくなれば、リンゴ、ハチミツ、コーヒーなどがスーパーマーケットから姿を消し、贅沢品となる可能性があると、読者を強く惹きつけるストーリーで書き始められています。

 

•昆虫の減少には、生息地の減少、農薬の過剰使用、気候変動など、人間の活動によって引き起こされる要因があります。

 

電子本書では、ミツバチや米国北部からメキシコまで移動するオオカバマダラ蝶などの減少について詳細に分析しています。ホッキョクグマやゾウなど、よく取り上げられる大型動物とは異なり、昆虫に焦点を当てることで、多くの思考材料を提供しています。

 

•対策に関しては、具体的なアクションプランを提示するのではなく、自然をそのままにし、何もしない「インアクションプラン」を通じて自然に回復の機会を与えるべきだと提案しています。

 

•昆虫の現状を理解し、それらを貴重な存在として再評価する視点を提供するこの一冊は、非常に価値のある読み物です。

『何が会社の目的を妨げるのか』 『カイゼン7つの法則』

『何が会社の目的を妨げるのか』 ラミ•ゴールドラット 2013.2 ダイヤモンド社
カイゼン7つの法則』 2011.7 山田 日登志 日経BP

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•今年より過去に読んだ本による学び直しを開始しました。

•故ゴールドラット氏の制約理論(Theory of Constraints、TOC)は、この理論では、システム全体の効率は最も弱いリンク(制約)によって決まると考えられています。したがって、制約の特定と改善が中心となるものです。

•ChatGPTで制約理論をわかりやすく解説させると以下のようになりました。

〜「ザゴールの制約理論は、物事をより良くするために「問題の場所」を見つけて、その問題を解決する考え方です。これを、おもちゃの工場での話として説明してみましょう。

1. **おもちゃをたくさん作ることが目標**:おもちゃの工場では、たくさんのおもちゃを作って、たくさんの子どもたちに届けることが目標です。

2. **問題の場所を見つける**:でも、おもちゃの一部を作る機械がとても遅くて、他の機械が待たなくてはいけないことが分かりました。この遅い機械が「問題の場所」、つまり制約です。

3. **問題の場所を大切にする**:この遅い機械がスムーズに動くように、特別な注意を払って、他の機械よりも先に材料を用意したり、常に動いているようにします。

4. **問題を解決する**:もし可能なら、この機械を新しいものに変えたり、修理して速くします。

5. **またチェックする**:機械を直したら、工場全体を見て、他に問題がないかを確認します。新しい問題があれば、また同じように解決していきます。

この話のように、ザゴールの制約理論では、問題が何か、それをどう解決するかを考えることが大切です。工場だけでなく、学校の勉強やスポーツでも、この考え方を使えますよ。〜

ゴールドラット氏の制約理論はトヨタ生産方式大野耐一氏に影響されている理論であり、これを実践的に落とし込んで解説したのが山田日登志氏の『カイゼン7つの法則』になります。

•10年くらい前に読んだ時には凄い考えだと思ったくらいですが、読み返してみると組織のボトルネックを効率化するのにも役立つ制約理論やカイゼンは今こそ取り組むものだと感じました。

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