傍らに書物

年間100冊を基準にジャンルを問わず読んだ本をアップしています。

『愛するよりも 愛されたい』

『愛するよりも 愛されたい』
佐々木 良 2023.10 万葉社

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・1300年前の奈良時代に作られた万葉集。その万葉集の和歌を当時の首都が奈良だったので奈良弁と令和言葉の現代語で訳すというユニークな内容。

・一首引用させていただくと、以下は大宰府長官だった大伴旅人から大宰府の遊女に送った歌

和歌:ますらをと 思える我や 水茎の 水城の上に 涙拭はむ
              ↓
現代訳:女と別れるのが寂しくて めそめそ泣くはずがない! だってオレ漢(おとこ)やもん

なかなか雰囲気があります。

平安時代が舞台の大河ドラマ『光る君へ』も始まりましたし、当時の人々の心情を知るに役立つ一冊だと思います。

『天才読書』

『天才読書』 

山崎良兵 2022.12  日経BP

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・イーロンマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊の中身を俯瞰できるガイドブック的な書籍。

 

・ガイドブックといっても山崎さんが構想から3年をかけ、実際に読んでまとめていますので、

ゲイツらの考えに触れられる②概要を掴める③次に読む本を決められると一石三鳥です。

 

・天才3人の読書のジャンルは歴史、科学、SF、経済など幅広く、古典に加えて最新の本も読んでいるのが特徴的としています。

 

・個人的に読んでみたくなったのはイーロンマスクの選んだSF『月は無慈悲な夜の女王』で、地球に支配されている月の植民地の住民たちが起こす反乱を描いた作品です。ガンダムのルーツともされており、また月のインフラは覚醒して自己認識を持った高性能コンピューターが管理しているなど、今の生成AIを考えるのにも役立ちそうです。

 

・他にも異常な出来事は予測不可能とする『ブラック・スワン』など興味深い本が満載です。

 

・今年は新書、この書籍に載っている本、過去に読んだ本の精読の3本柱でいく方針です。

『動くが負け 0勝144敗から考える監督論』

『動くが負け 0勝144敗から考える監督論』
岡田彰布 2010.7 幻冬舎新書

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・今年の100冊目の読書は岡田彰布による『動くが負け 0勝144敗から考える監督論』でした。

 

・この本は、2010年にオリックス・バファローズの監督に就任した際の岡田監督の経験と指導哲学に基づいています。

 

・岡田監督の考え方の中で特に印象深いのは、優勝をアレと置き換えたように立場のある人間の言葉と行動への慎重さです。リーダーとしての発言や行動が持つ重みを深く理解しており、その重要性を強調しています。

 

・また、監督としてチーム戦略を考える際には、攻撃よりも守備を重視するという点に注目しています。完璧に近づけるのは守備であり、成功するチーム作りにはまずディフェンスが中心であるべきだとしています。

 

・岡田監督のアプローチは、単にスター選手を集めるだけではなく、チームの基盤となるセンターラインをしっかりと構築することの重要性を示しています。この考え方は様々なスポーツに通用し、指導者や選手にとって非常に価値のあるものです。

 

・『動くが負け 0勝144敗から考える監督論』は、ただのスポーツ書ではなく、リーダーシップと戦略について深く考える機会を与えてくれる一冊です。岡田監督の豊富な経験と洞察は、あらゆる分野のリーダーにとって参考になると思います。

 

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『100分de名著 フランクル 夜と霧』

『100分de名著 フランクル 夜と霧』

諸富祥彦 2013.8 NHK出版

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ナチスによるホロコーストにより強制収容所での過酷な状況に置かれても、決して絶望しなかった心理学者のフランクル。その経験を記録した名著『夜と霧』の内容を解説した一冊。

 

フランクルの「成功と失敗」の水平軸でなく、深く苦悩しながら「意味と絶望」の垂直軸で生きるという考え方は示唆に富んでいます。

 

・「人間は常に人生から問いかけられている」や

「あなたがどれほど人生に絶望しても、人生のほうがあなたに絶望することはない」

という言葉はまさに名言です。人生の意味まで考えると大概のことはそれほど悩む必要はないでは?そんな気持ちになりました。

 

『関ヶ原合戦を復元する』

関ヶ原合戦を復元する』

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水野伍貴 2023.9 星海社

・近年、関ヶ原合戦の研究が活発化し、多くの「新説」が発表されており、例えば

 

小早川秀秋が寝返ったのは開戦と同時、合戦は短時間で終結した

②「西軍が豊臣秀頼を迎えるための御座所として関ヶ原にある城山に陣城 (玉城)を築いた」

こうした新説などを信憑性の高い史料を基に検証し、決戦当日の布陣や経過を復元していくという内容です。

 

・①の小早川秀秋の寝返りは開戦と同時とする白峰旬氏の説に対しては、一次資料である島津家の家臣の帖佐宗光の覚書で序盤は西軍が善戦していたの記述があり、開戦後に短時間で終了したのはないだろうとの考察は説得力がありました。

 

・読了後に関ヶ原に走りに行って笹尾山→開戦地→桃配山と回ってきましたが、小早川の布陣した松尾山はいつ見ても遠いと感じます。様子見には最適な立地で、毛利が布陣した南宮山とはまた違います。

 

・個人的には小学生の時に騎馬戦で味方のハチマキを取ってしまった失態を思い出し、色々な大名が入り混じって数万人も戦う中で、赤白帽子やハチマキでもするわけでなく、どうやって敵味方の区別をつけて戦っていたのかがすごく疑問です。

 

 

 

 

 

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

フィリップ・K・ディック 1977.3 ハヤカワ文庫

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〈あらすじ〉第三次大戦後、放射能に汚された地球では、生きている動物を所有することが地位の象徴となっていた。 人工の電気羊しかもっていないリックは、 本物の動物を手に入れるため、火星から逃亡してきた〈奴隷> アンドロイド8人の首にかけれた莫大な懸賞金を狙って、決死の狩りをはじめた! 

 

・映画「ブレードランナー」の原作。1977年の作品ですが、アンドロイドを現在の生成AIと置き換えて、人間との境界は何なのかを考えながら読むと面白いです。

 

・同じく荒廃した地球を描いたジョージ・オーウェル1984」のディストピアは読了後に暗い気分になりましたが、こちらもなかなか深い内容でした。

 

・頭の中にできたイメージを持ちながら映画「ブレードランナー」も観てみようと思います。

『スラムダンク勝利学』

スラムダンク勝利学』

辻秀一 2000.10 集英社インターナショナル

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・映画『THE FIRST SLAM DUNK』のDVDが2024年2月28日に発売とのこと。家で繰り返し再生されることで、映画館で一人で観た親世代から子供たちへ人気が拡散するのではないかと思います。

 

・本書はスラムダンクの作品中の出来事を用いながら、チームワークの高め方やコーチの資質について解説されています。

 

・コーチの資質についてはアメリカのジュニア指導書に書かれていた

①Cnmprehension(理解力)

Outlook(前途の見通し)

③Affection(愛情)

④Character(人間性

⑤Humor(ユーモア)

のCOACHが必要としています。

例として陵南高校との神奈川県予選で湘北高校は勝利し、インターハイ出場権を獲得。敗れた陵南高校の田岡コーチは、試合の敗因を自分であると断言し、選手たちは最高のプレーをしたと褒めたたえます。責任を自分に置き、選手を責めないという、コーチとして素晴らしい考え方としています。①理解力や④人間性はとても大事かと思います。

 

その他にも「反省と確認は違う」など、個人のスキルを高める考え方も参考になります。指導者から選手まで幅広く刺さる一冊です。