傍らに書物

年間100冊を基準にジャンルを問わず読んだ本をアップしています。

『誇りある金融』

「誇りある金融』 

新田信行 江上広行

・芸妓ローン等の特徴ある取組みをしている第一勧業信用組合理事長の新田信行さんと『対話する銀行』の著書である江上広行さんが、持続可能な「価値を大切にする金融」について対談した内容が収められています。

f:id:starksno8:20200815225304j:image

・冒頭に2018年7月、第一勧業信用組合は日本で初めてGABVに加盟したという部分からはじまります。

 

・そもそもGABVとは「価値を大切にする銀行の世界連携」の略で、その使命は「十分なサービスを受けていない人やコミュニティ、環境に持続可能な開発をもたらすために金融を使う」です。2009年に発足し、2019年12月現在で世界の63金融機関が加盟しています。

 

・参加する金融機関は社会課題に取組んでいる尖ったところが多く、環境や教育、地域支援などを網羅するトリオドス銀行(オランダ)やGLS銀行(ドイツ)等が代表的です。

 

・個人的にこれは凄い仕組みだと思ったのが、トリオドス銀行のもので、Googleマップ上に融資した事業がどこに所在されているか公開されていて、預金者がどんな事業に使われているかを知ることができるという高い透明性に取り組んでいるというもの。借りる側も預ける側も地域のおカネがどう回っているか知ることができるのは、今後日本でも求められるかもしれません。

 

・日本での取組みでは近畿労働金庫の「粗品をいらない」といえば、1回あたり40円をフィリピンの子どもたちに給食を配る寄付に充てる「心のそしな」というサービスが紹介されていました。まだまだ考えることはたくさんあると気付かされる一冊でした。