傍らに書物

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『生き残る判断 生き残れない行動』

『生き残る判断 生き残れない行動』

アマンダ・リプリー ちくま文庫 2019年 

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・『すべての知識を20字でまとめる』の中で題材として使われていて、興味を持ったので読んでみました。

 

・いかなる種類の災害においても、生存への道は第1段階「否認」、第2段階「思考」、第3段階「決定的瞬間」というプロセスを辿るとし、各段階について火災やテロなどの実際の事例に基づいて解説されています。


アメリ同時多発テロの際の世界貿易センターでの行動が凄く印象に残るものでした。
第1段階の「否認」…火事に遭うのは他人だけとか、私物をまとめる等の日常の習慣に安らぎを求める「正常性バイアス」が作用し否認することで立ち遅れが発生。世界貿易センターでの1,444人の生存者の内、約40%の人が脱出の前に私物をまとめたそうです。
第2段階の「思考」…災害時には普段とは違った考え方や受取り方をするが、その場にどんなリーダーがいるかや普段の訓練等により生存への道は変わる。モルガンスタンレーの警備担当を務めた故リック・レスコラ氏の多くの人々を救った訓練方法・災害時の行動は感動です。
第3段階「決定的瞬間」…比較的多くの人がパニック状態とは正反対に目も耳も心も閉ざしてしまい、麻痺状態になる(麻痺状態が生存につながることもある)


・極度のストレスの下で脳を働かる最上の方法は、「適切な事前の計画と準備は、最悪の行動を防ぐ」という「八つのP」(prorer prior plannninng and preparetion prevents piss-poor  performance)としています。普段使用する場所の避難経路等は何となく知ってるでは地震等の災害時には適切に行動できない可能性が高いので、より実践的な避難訓練(通知せずに行う等)が必要かと感じました。


・リスクに対する人の捉え方について車の事故や心臓病よりも航空機事故をずっと恐れることは「不安の方程式」で説明していています。
○不安の方程式…不安=制御不能+馴染みのなさ+想像できること+破壊の規模+不公平さ


・この式を見るとウイルス感染症は全部当てはまる+経済にも大ダメージという恐ろしいものです。早期の収束を切に願います。