傍らに書物

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『壬申の乱と関ケ原の戦い~なぜ同じ場所で戦われたのか』

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壬申の乱関ケ原の戦い~なぜ同じ場所で戦われたのか』

本郷和人 祥伝社新書

 

磯田道史さんが「久しぶりに面白い歴史書を読んだ」と帯の書いた通り、今まで読んだ歴史本の中でもトップクラスの内容でした。

 

・古代最大の内戦・壬申の乱室町幕府を確立させた中世の戦闘・青野ヶ原の戦い、近世最大の会戦・関ケ原の戦いはいずれも同じ地で行われたのですが、律令時代の朝廷の儀式である「固関(こげん)」をキーワードとしてそれぞれの戦いを解説しています。

 

・「固関(こげん)」は天皇等の朝廷の重要が亡くなった後、都を防衛するために、越前の愛発関(福井県敦賀市付近)、鈴鹿関(三重県亀山市)、不破関岐阜県不破郡関ケ原町)の三関の防衛を固めた儀式です。

 

・東から反乱分子が京都に攻め入る3ルートを防いでいたわけであり、昔はこれら3つの関の東を「関東」と呼び、古代は中部地方も関東に含まれていたことになります。

 

・古代の朝廷は関東を軽視していましたが、鎌倉時代を経て家康が江戸を開拓したことで関東が発展。日本の重心が変わり、関ケ原だった想定防衛ラインを伊勢(藤堂家)、彦根(井伊家)に改め、治めさせたなど、戦略上の土地からみた考察は非常に面白い!

・個人的に気になったのは南朝に属した北畠顕家が中心となり起こした「青野ヶ原の戦い」。北畠顕家については北方謙三が「破軍の星」で描いているそうなので、ゴールデンウィークに読んでみたいと思います。